短歌

妻がいつ 離婚切り出す 退職後 そっと窺う 夕餉の準備

エロ話 文字読むだけで 欲情す、男の性はカワイイものさ。

毛玉取る 人は無かりし 気付かずに、見てくれ気にす 歳でもなくて。 湿りける布団の上の感触は、寂しい限り 諦めて寝る。 歳により時のスピード違ってる、悲しいけれど待てない性分。

死生感 射精するたび身に滲みて、我が心臓はいつまで耐えしか。 排泄の臭い充満 年寄りは、忌み嫌えども いつか自分も。

枕辺の読書の癖は苦になりて、五十肩には勝負にならず。 強張りし身体の老化 詮無くて、柔軟性は過去の栄光。

何気なく 爪先立ちて筋肉痛、損な生き方 自責に甘い。 夜明けても 今日も一人の旅路では、予定のあるは最初の方しか。

霙降る 冷たき朝に備えしは、形ばかりで思い至らず。

息切れし わずかの運動 日常の 悲しき現実 覚悟の足らず 指先の冷たき朝の通勤は、いつまで続く 春はまだ先 愛しくも貧しき胸の人なれば 欲情時は途切れ途切れに

凍てつきし朝満月の悲しさよ 家族の愛情 姿に見えず

ゆるゆると人生見つめ歩を進め、今日の洗濯、明日の片付け 打ち震え 蒲団の綿の抜けし身は、部屋の寒さが肩から凍え

物言わず 姿も見せず 影法師 汝いつから 魂抜けし 君見ずや ハウスダストの堆く 辺り一面 ゴミの屋敷か

信号の青の点滅 急かされて、気ばかり急いて 体伴わず

街灯に夜明の遅い冬の朝、今日も生きてる 働きに行く

しまい込む 大切にする 無駄にして 執着心は アダなものかは冬来たり 鼻水すすり くしゃみして 足から冷える しんまで冷える

朝まだき、駅へと急ぐ夜明け前、雨降る路上、夜かの如く

花畑 眺めし人の背に向けて、呼び掛けてみし秋晴れの日に

スマイルでつなぎし絆 永遠に、誓いし記念 文化の日には部下の結婚式に出席する。

道ばたの花の名前は知らねども、可憐な姿 物思う時

行き過ぎて裾風薫る夏の朝、今日の元気を明日の憩いを

汗ばみて熱弁ふるう政治家の言葉は空虚ならざりしかな

いとおしく妻を抱くとき夢想する、吉永小百合 思わば思え毛クズ取る気づかいもなき女と共に、暮らす限りは諦めるのみ義務果たせ、忙しいのは誰でもよ、人の迷惑 考えるべし大切なこともしばしば忘れしは、仕方ないねと諦めること

寒き夜に 一人で過ごす わびしさよ、どこにも行けず 誰にも会えず新聞の文字の多さにウンザリし、政治に怒り 事故に涙す行くだけの男の性は余裕なく、愛情などは なきかの如く

触れもせで 唇近く 感じれど、こころ遠くに あなた人妻丸くいて 艶けき瞳 見つめられ、虜になりて 忘れられずに

小雨降る 来ぬ人待つは長けれど、老いさらばえて夢にも逢えずおぼろ月 なぜに今宵は顔見せぬ、いとしき人の姿隠して

脂粉の香 タオルに染みて気づく日の、幼き憶え母の匂いか春偲び寒さに耐えて過ごす日の思い出抱き生きるものなり

大寒の人肌恋し冬の夜の、怖き夢見て眠りにつけず推し測る他人の嫌悪気が付かず、言わずもがなの指摘し過ぎて

薄闇の街灯照らす裏道に落とす無念の昨日の作為明けきらぬ夜の帳に思うほど今日の勤めもまた哀しかり

寝間にまで冷気の横暴忍び込み、独りの寒気心まで凍え

ハッピーバースディ♪歌ってくれるは携帯のみ、一人で過ごす誕生日には

冬の陽の蜜柑と過ごすまだろきも、時の流れはゆるりゆるりかな