短歌

大木を見つめ続けて抱かれる、浮世の時は風に流れて 来ぬ人の出会い求めて待ち飽きて、今日また生きた明日また続く

自堕落か貧乏性か節約か、環境配慮も只のケチかな 川柳は羨ましいと思えども、蛇足ながらも言葉継ぎ足し

成果なく疲れし後の反省をいつものように繰り返すのみ

文字に飽き 音にも飽きて 寝れもせず 風に脅され 月に笑われ

雨の日の姫な可愛さ忘られず、愛しき時を思い出しつつ

寒き夜に 暖房器具で 暖める 生身の肌の 恋しからずや

こだわりの安物買いを自慢する、病気自慢と同種の歪み

うかうかと 1年過ぎて 居場所なく 映画・音楽に 読書・講演と

眠られぬ夜を数えて今日もまた、若き過ち 今さら悔ゆる

グズグズと風邪の鬼神に押しきられ、体調管理の甘き自分は

一枚のLPレコードで 我一人 今日一日を生きつなぎゆく

祈れども 不安ばかりが 増して来る 強き心は 望むべかりし 洗濯し 何か楽しげ 鼻唄を 諳ず妻の 朝の日課は

水鳥の水紋広げ行く先は、憩っているの 頑張っているの 女ども 嬌声高らか 賑やかし 家族の平和 寛ぎのとき

野良猫の愛想笑いに付き合いし、小春日和の悩めし日には

機械音 腹をたてても 始まらぬ、便利を得ても 人情見えず 肌合わぬ 化学繊維に 静電気 温もり持たぬ 時代の中に

スズメ鳴く 目覚めのときに遊びたる、今日の予定を思い出しつつ

グズグズとヤル気・意欲を先のばし、貴重な時間 無駄遣いせし

月欠けて 受け口人の俯きし 帰りたくなき 寄る辺方なく

暑き夜の浅き眠りの朝迎え 汗疹爛れし掻くも耐えれず

うるさくも夜明け前から蝉の音に 呼び起こされし夏の始めに

降り続く 予定なき日の つれなさよ、コールすれども 逢えもせぬとは

しとど降る 雨に愁いは なけれども、急き立てられて 振り返られず。

ポリポリと関節まわし解せども、気分も晴れず、凝りも取れずに

一人飯 母の手料理 忘れたが 愛なき妻の出来合い料理

晴れた日の 鳥の舞い飛ぶ水辺にて 嬉しささえも 忘れし夏に

虚か実か 昔のことは夢うつつ 忘れたいのか無かったことか 子らが舞う 夕暮れ時の公園で 家路に向かう家族連れらは

寒き身を 自ら抱きて 侘びしけれ、温もり求め 住処恋しき

春の雨 うつらうつらとラジオ聞きながらうとうと 至福の時を このクシャミ 花粉症なの 風邪なのか。誰も知らねど 辛きことかは

うす寒き 春先雨の濡れた道、時を待てども 開花はまだ来ぬ

緩やかに時は過ぎ行き、悲しみは癒える間もなく襲いかかりし