「武士の一分」(DVD)
個人の人権など考慮されなかった昔の日本では、妻が辱しめを受けたのだとしたら、それは武士の妻個人に対しての恥辱ではなく、武士本人に対してのものでもないのだろう。武家のお家に対する侮りであり、だからこそ標題も武士の一分となっており、ほんのとるに足らない程の理由にしかならないとなっているのだと思う。本来なら事が明らかになった時点で、妻を離縁して、それだけで終りだろう。それを果たし合いまでする理由にはなり得ないだろうに。そうまでする理由は、愛なのだろうか。面子なのだろうか。意地なのだろうか。怨みにはなったとしても、お家の為に益するとしたら、人の噂を鎮める方に向かうものではないのか。実際には返り討ちにあって終わるだけだろう。それでも男は何かの為に、立ち向かって行くのだろうか。貴方ならどうしますか?そこに愛は介在しますか?これは本当に美徳なのだろうか?