来し方

妻が相手にしてくれなくなって、それ以来私は何をして生きてきたのだろう。頼られもせず、避けられ嫌がられて、いったいどこに居場所を求められたろう。酒に逃げることもできず、女に遊ぶこともできず、ただ仕事に呆けていたのだろうか。どうあがいても変えられないのなら、現実を受け入れるしかなかった。それは敗北だったのだろうか。勝負とか正邪を問いたくはなかった。妻と自分を同化することもできず、割りきることもできないままに生きてきた。一人になりたいのなら、それも許してきたつもりだ。温もりのない家庭になってしまった。どこまでも自分の不徳の致すところでしかない。あとは、ただただ独りの老後が不安だ。もうなりふり構わず開き直るしかないのか。