子供の頃には自分の寿命のことなど考えもしなかった。疾患を畏怖していた二十歳の頃には、30歳まで生られるのかと悲観していた。結婚をし子供ができ、がむしゃらに働いていた時には、寿命は思案の外だった。還暦まで生きようとしている今では、どうにか70歳くらいまでは生きようと思っている。後のことは知ったことか。自分の亡き後、誰かの記憶に残っているだろうか。誰か涙してくれる人がいるのだろうか。